くぼの詰将棋

タイトルは怒られたら変えますw

相馬慎一作品展③ 解説

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37銀、 25玉、34銀生、同玉、94飛、25玉、
A 26銀、36玉、96飛、同と、37銀、25玉、43角、 34飛合、同角成、同玉、B 94飛、 84角合、C 同飛、25玉、」
「26銀、36玉、86飛、同と、37銀、25玉、43角、34飛合、同角成、同玉、84飛、74角合、D 同飛、25玉、」
「26銀、36玉、76飛、同と、37銀、25玉、43角、34飛合、同角成、同玉、74飛、64角合、E 同飛、25玉、」
「26銀、36玉、66飛、同と、37銀、25玉、43角、34飛合、同角成、同玉、64飛、54角合、F 同飛、25玉、」
26銀、36玉、56飛、同と、37銀、25玉、43角、34飛合、同角成、同玉、54飛、 25玉、
26銀、36玉、56飛、同銀成、37銀、25玉、26歩、15玉、27桂、同成香、16歩、同玉、27金、同玉、28銀上、18玉、19香、29玉、39金、迄93手詰


A 43角、15玉、27桂、同成香、で16歩は打歩詰。16角成としても同玉、a 27金、同玉、28銀上、16玉、b 17香、25玉で26歩が打歩詰。
( a 96飛は25玉、以下逃れ
 b 96飛は36香で、17香、25玉、26歩、35玉、以下逃れ)
B 43龍、25玉、26飛、15玉、27桂、同成香、で16歩は打歩詰。16飛としても同玉、27金、同玉、28銀上、16玉、17香、25玉で26歩が打歩詰。
C 43龍、25玉、26銀、36玉、94飛、56銀成、37銀、25玉、26歩、15玉、27桂、同成香、16歩、同玉、27金、同玉、28銀上、18玉、19香、29玉、39金、同角成で逃れ
D 74角合が逆王手なので43龍とできない
E 43龍、25玉、26銀、36玉、76飛、56歩、37銀、同角成で逃れ
F 43龍、23玉、32歩成、43角で逃れ

45玉は46銀、36玉、63角、46玉、54銀生、36玉、47龍、同玉、74角成、56銀、48金、46玉、47銀、以下
15玉は27桂、同成香、16角成、同玉、27金、同玉、28銀上、16玉、17香、25玉、26歩、34玉、43龍、迄
34歩合は同角成、同玉、43龍、25玉、26歩、15玉、27桂、同成香、16歩、同玉、27金、同玉、28銀上、18玉、19香、29玉、39金、迄
25玉は26銀、36玉、96飛、56歩、37銀、25玉、26歩、15玉、27桂、同成香、16歩、同玉、27金、同玉、28銀上、18玉、19香、29玉、39金、迄
84歩合は96が取られない代わりに歩を渡すことになるので無効。上記と同様に詰む。
44角合は同龍、以下


初手はこの一手だが、対する45玉の変化はかなり厄介。
2手削った方が良いという声もあったが、ここは好みの分かれるところだろう。
45玉は46銀以下何とか詰むので作意は25玉。

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ここで34角とすると、以下15玉、27桂、同成香となって打歩詰。
しかしもしここで角が成れれば16角成~27金として手が続きそうだ。

そこで34銀~94飛として43地点を空ける手が好手……なのだが、実はこの一連の手順にはもう一つ、本作のメインの成立に関わる重大な意味がある。

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94飛に対して25玉とかわした局面。
ここで43角と打ってみよう。
以下15玉、27桂、同成香、16角成、同玉、27金、同玉、28銀上、16玉、17香、25玉。

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なんと打歩詰の局面になってしまった。もし上記手順中17香に代えて17歩としても15玉とよろけられて、16香、25玉ではむしろ状況は悪化するだけだ。
しかしもし94飛がいなければどうだろう。34への利きが消え、26歩、34玉、43竜で簡単に詰むではないか。
つまりこの局面で、94飛は邪魔駒となっているのである。

そこで戻ってP図から26銀、36玉、96飛とするのが邪魔な飛車を消去する唯一の手段。
先の手順で16角成、同玉まで決めてから、あるいはさらに27金、同玉、28銀上、16玉を決めてからでは紛れAa,bのように逃れるようになっている。流石に巧く作られているものだ。
翻って、A図から34銀~94飛としたのは34への利きを銀から飛にすり替えておき、後に96飛でそれを消すための布石でもあったことになる。

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以下、同とに37銀、25玉と戻して43角。
ここで15玉と逃げると、先の手順を経てX図にあたる局面で今度は26歩が打てる(飛を消去した効果)ために詰む。
しかし34への飛車の利きが消えたので43角に合駒が利くようになる。さて合駒は何か。

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普通は歩合とするところだろう。攻方は何合でも取るしかない。
しかし34歩合、同角成、同玉、43龍、25玉、26歩、15玉、27桂、同成香(下図)に、16歩以下特に難しいところなく詰んでしまう。

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もうお馴染みだろうが、ここで26歩が飛だったら、という発想が鍵。
上図の26歩を飛に置き換えた局面で、16歩は打歩詰になってしまう。
16飛も同玉、27金、同玉、28銀上、16玉、17香、25玉、で26歩は打歩詰。先の16角成の紛れでもそうだったが、34に攻方の利きがあるときは、25を封鎖しながら攻めないと最後に25玉で打歩詰になってしまうのである。

すなわち26歩が26飛ならこの局面は不詰なのだ。
それでは26歩を26飛に置き換える玉方の妙防は……?

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Q図から34歩合ではなく34飛合とするのが不利合駒の妙手。
以下同角成、同玉、43龍、25玉、26飛、15玉、27桂、同成香とすると次図。

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Y図の26歩が見事26飛に変わっている!
34飛合として歩ではなく飛を渡し敢えて16に攻方の利きを作ることで、玉方は16歩を打歩詰にせしめたのである。
予習のとおりこれは逃れであるから、今度は攻方が工夫しなければならない。

不利合駒には不利交換が定跡だ。貰った持駒の飛車をどうにかして歩に換えることができれば、不利合駒の妙防を空振りに終わらせることができる。
そこでR図の34飛合に34同角成、同玉の局面で、96とに着目して94飛と打つのが好手。

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以下25玉、26銀、36玉、96飛、46歩、37銀、25玉と進めば26に飛ではなく歩が打てるわけだ。
以下15玉、27桂、同成香となった局面は、細かい違いはあるがY図と同様に16歩で詰んでいる。

玉方は26歩を打たせてはならないので、攻方に歩を与えるわけにはいかないのだ。
だから94飛に96とを取らせまいと84歩合の中合を放ってみるのは意味がない。

そこで……。

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94飛に84角合が妙手。
同飛、25玉に43角と王手すると、15玉、27桂、同成香で16歩は打歩詰だ。

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ここで43角に代えて26歩の配置であれば16歩が打てて詰むことはもうご承知のはず。
すなわち84角合は歩ではなく角を渡すことで、敢えて(そしてあくまで)16に攻方の利きを作ろうという不利合駒なのである。
ただし、84同飛ではなくあくまで歩を取ろうとする43龍に対して、以下25玉、26銀、36玉、96飛、56銀成、37銀、47玉、48金、同角成で逃れる意味もあるので、純粋に不利合駒となっていないのは惜しい。

ところで、84角合に同飛、25玉となった局面(次図)には見覚えがないだろうか。

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なんとP図とそっくりである。飛との位置が少し違っているだけだ。
何がどうなっているのかはまだよくわからないかもしれないが、どうやら繰り返し趣向の予感がする。
これまでと同様に進めてみることにしよう。

まずは26銀、36玉、86飛、同と、37銀、25玉、として84飛を消去する。
これは34への利きを消すことで、43角に対して15玉と逃げる手を、27桂、同成香、16角成、27金、同玉、28銀上、16玉、17香、25玉、26歩、34玉、43龍で詰むようにするためであった。34への利きが残っていると手順中26歩が打てない。

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そうしておいて43角。
15玉は27桂~16角成以下詰む(上で飛車を消去した効果)ので、玉方は34飛合の不利合駒で受ける。

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34同角成、同玉に84飛。これは86とに狙いをつけた手だ。
対して玉方は歩はなく、あくまで16に利く駒を渡そうと74角合の不利合駒。
(逆王手になっているので今度も43龍とはできない。以降も紛れC~Fに見るように、角合に対して43龍とはできない。)

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74同飛、25玉で次のP''図。

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またP図の類似局面に戻ってきた。
そして先ほどとの違いは飛車とと金が一路ずつ右に寄っていること。
もうお気づきだろうか。つまりこの一連の手順を繰り返し、飛車とをどんどん玉に近づけていくのが本作の趣向なのである。


おさらいしておこう。

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基本図(P図にあたる)から
①43角は15玉以下進んで25玉に26歩が打歩詰。
②そこで26銀、36玉、96飛、同と、37銀、25玉と飛を消去してから43角。15玉には①と同様に進んで26歩が打歩詰にならない(34に逃げられる)のが飛消去の効果。
③対して34飛合と不利合駒。これは34同角成、同玉、43龍、25玉、26飛、15玉、27桂、同成香、16歩を打歩詰にする意味。(26飛が26歩ならば16歩が打てる。)
④そこで飛でなく歩を手に入れるため、34同角成、同玉に94飛として96とを取りに行く。
⑤対して84角合と不利合駒。これは84同飛、25玉、43角、15玉、27桂、同成香、16歩を打歩詰にする意味。(43角が26歩ならば16歩が打てる。)
⑥84同飛、25玉で基本図の類似局面に回帰。


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これが1サイクル。
基本図と基本図'を見比べると、サイクル手順を経て飛との位置だけが変わっている。
サイクル手順を繰り返せば、これらが順次右へと移動していくことになるのだ。
すなわち飛は94→84→74→64→…へ、は85→96→86→76→…へ、それぞれ移動していく。

そしてを56まで移動させ、①~③を経て④で54飛と打った局面(次図)がサイクルの終着点。

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ここで44角合は同龍があるので利かない。
ついに単に25玉と逃げるほかなくなるのである。
いよいよ収束だ。

B図以下25玉、26銀、36玉に56飛と待望の歩を奪い、同銀成に37銀、25玉。
飛歩の不利交換が漸く実現したので、26に飛ではなく歩が打てる。
26歩、15玉、27桂、同成香、そして……

16歩
この歩を巡って延々と続いた攻防もこれにてお終いである。

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以下は同玉、27金、同玉、28銀上、18玉、19香、29玉、39金、迄。
総手数93手、ほとんどが趣向手順という純度の高い趣向作であった。



さて一通り手順の解説も済んだところで、作者の言葉を引用しよう。

相馬真一(作者)「去年の個展3の副産物。近藤さんの「テレポーテーション」をイメージして作ってみました。不利合の繰り返し趣向は般若一族や金成さんが手掛けていますが、本作は「ロジックを楽しむ」という点においてまずは及第点といえるのではないでしょうか。」

「テレポーテーション」とは次の近藤真一氏の作品。
(詰将棋パラダイス 1983年5月号 院10 上半期大学院半期賞受賞)



「飛打、飛合~飛捨、同成桂」を繰り返して成桂を連れてくる趣向で、恐らくこの飛合の部分を不利合駒でやろうというのがそもそもの発想。
尚、「テレポーテーション」における飛合は5筋に利かせる意味だ。

しかし、それだけでは正直面白いとは思えなかっただろう。
本作が面白いのは、角合を挟んで「角打、飛合~飛打、角合~飛捨、同と」という構造になっており、しかもその角合までもが飛合と同意味(16に利きを生じさせる)の不利合駒になっているからである。
青字で書いたまとめ部分を読んでもらうだけでも、本作の趣向手順を成り立たせるロジックが重層的でありながら、しかしきっちりと一本の線の上に描かれていることがわかるはずだ。

本作は単に「テレポーテーション」に不利合を絡め、それを複雑化しただけの作品ではない。
作者も言うように、見るべきはその手順の「形式」よりも、むしろ手順を成り立たせる「論理」にある。
趣向作であってもやっぱりこれは相馬慎一の作品なのだ。

しかしそれにしても、去年の個展③から「テレポーテーション」へと結びつける、その柔軟さには感服するばかり。
構想中編などという枠にとらわれない発想が、新たな構想を生み出す原動力になっているのかもしれない。

相馬氏にはその発想力で新たな構想作を生み出してくれることを期待する一方で、これを皮切りに長編の舞台でも凄い作品を見せてほしいと思わずにはいられない。
案外2000手超えをはじめに達成するのは相馬慎一かもしれませんよ。



divD
「3九金迄93手。
四段に飛があるときに43角を打つと15玉27桂同杏16角成同玉27金同玉28銀上16玉17香25玉で26歩が打歩詰となる。飛が無いときは26歩が打てるので合駒だが、歩合だと同角同玉43龍25玉26歩15玉16歩同玉27金15玉16香まで。飛合で同様に進めると上記16歩が打てず、打開しても後に26歩が打歩詰。攻方は歩が欲しいのでと金を狙うが玉方は角中合で抵抗。以下繰り返しで最後はと金を手に入れて収束。
飛合,角合とも25,16へ利かす不利合駒ですね。完璧です。」


明晰なミニ解説ありがとうございます。私いらないんじゃ……(笑)
それはさておき、まさしく完璧な手順構成です。収束は好みの分かれるところかもしれませんが、これも一つの纏め方でしょう。


YANAGI
「不利合駒と趣向手順の融合はまさに空想の世界。20年後の詰将棋を見ているよう。次元の違いを感じる。
仕組みは実に単純で分かりやすい。不利合駒の繰り返しは1手1手にたしかな手ごたえを残していく。趣向手順が終わり待望の26歩が実現し、27桂と跳ねたあたりが本作のピーク。一歩入手を巡る攻防の余韻を味わう。
1つだけケチを。2手目45玉の変化は軽いストレス。頭2手はカットした方が落ち着く。」


私も相馬作品からは時代を先駆けている印象を受けます。例えば相馬作品展①なんかは、まだ時代がグループ不利合を正当に評価するに至っていない中で、それをさらに発展させてしまおうというものですし。
しかもそれでいて構想部分が煩雑にならないんですよね。仕組みはあえて単純でわかりやすく作ることで、テーマが明快に伝わるように工夫しているのかもしれません。

でも2手目は確かに煩雑で、私も省く案に賛成。少なくとも解答者としては嬉しくない変化かと。
作者としては入れたくなるかもしれないので強くは推せませんけど。


冬眠蛙
「締切すぎてしまいました。39金まで93手ですね。飛・角のどちらかが持駒の場合だけ、単純に攻めると打歩詰になる構図が秀逸です。序奏や収束がシンプルで好感のもてる仕上がり。こういう作品はぜひ詰将棋を始めた人に見てほしいですね。」


これも同感です。飛・角のどちらかが持駒のときに16歩が打歩詰になる設定、それに26歩の打歩詰の条件設定も含めて、このあたりの構図設定と論理の組み立てがスマートだと思います。
でも詰将棋を始めたばかりの人にはちょっと消化しきれないかも(笑)


三輪勝昭
「序盤10手は逆算ですよね。
主題が生きるベストの逆算だけど2手目45玉の変化は作品の本質に関係ない面倒くさいだけの変化。
僕はこう言うのは嫌いなので初手は省きますね。
このコメントこそ作品の本質に関係ないから省くべきかな(笑)。

25玉の形は持駒歩か香だと15玉、27桂、同成香、16歩で簡単に詰んでしまう。
43角や26飛なら16歩が打歩で、玉方は飛か角しか渡せない舞台装置が巧い。
もらった飛を使って96とを狙って取りに行くのは見当がつくし、角の中合も予想される。
普通こんな感じの手順を成立させるには飛合を守備力の強さで発生させるのだけど、相手に渡して役に立たない駒として発生させているので凄く簡明と言うか合理的と言うかスッキリしていて気持ちが良い。
もっとも創作法としては手順を成立させるために考えた不利合でなく、不利合の面白い展開と考えた手順なんだろうけど。
とにかく面白い手順を考えたものです。
飛を引いてと金に取らせないと手順が繰り返して行かないから訳も分からず指してしまうが、どうしてこうなるのだろう。
43角、15玉、27桂、同成香、16角成、同玉、27金、同玉、28銀、16玉、17香、25玉で飛がいないと26歩が打歩にならないのか。
もっとも14手目の変化として解く順番では先に読んでいるけど、作者観点として巧く創っていると感心します。

角の中合の位置は飛を引かれた時に、と金で取れるよう隣が当然。
だけど待てよ!詰方は歩が欲しいのだから、タダの角に食い付かず、43龍~26銀、36玉に歩を取るとどうなるの?
84角は96飛、56銀成、37銀、47玉、48金を取るため。
74角は逆王手。
64角は37に利く。
54角は43龍に23玉、32歩成、43角。
これらは仕方なく創った逃れ順だろうけどよく考えていますね。

収束は29金で28金、16玉、17香迄がベストと思うけど、出来ないならこれでベストと思う。
だけど僕は短編作家なので42龍の大駒が遊んでしまうのが気になる。
これは長編では気にしなくて良いのではと思っているんだけど。

この作品は最近の相馬さんの作品で一番好き。
正直言って最近の若島さんの作品も同様なんだけど面白いとは思っていない。
論理的に不思議なだけで感覚的な面白さがないからです。
僕は捨て駒の手の感触や、ある形にするために一旦逆効果の手をするような因果関係を好むのでこの作品は僕の好みにピッタリです。」


やはり解答者にとってこの2手目の変化は嫌味だった様子。
でも私が解いた際は無心で読み飛ばしました(笑)

「テレポーテーション」を見る限り、飛合は守備力の強さで発生させた方が合理的で簡単そうです。でも角合を挟むとなるとどうでしょうね。やってみないことにはちょっとわかりません。
まあしかし仰るとおり、作者としては不利合から展開していってるはずで、飛合が形式上発生することよりも、なぜ発生するのかの論理に重きが置かれているはずです。

26歩の打歩詰を設定して、飛消去の意味づけをその打開にもってきたのは私も巧いと思いました。
でも角合の瞬間の43龍を逃れるための仕組みは私はちょっと苦しめに感じました。

収束へのツッコミは予想通り(笑)
個人的にも気になるところではありました。多分消そうとすると無理やりになってしまうのでこれがベストなんだろうとは思いますが。

他の作品が面白いか、ということはさておき、本作は楽しんでもらえたようで何よりです。


高坂研
「趣向手順は「極光」第四十五番あるいは「テレポーテーション」の発展形だが、サイクル毎に不利合駒が入っているのが作者らしいところ。ただ、この手順は双玉でなくても成立するのでは…と不思議に思って調べてみたら、角中合にはどのサイクル中にもある43龍以下の紛れをぎりぎりで躱す意味もあるようだ。ということは、角中合の意味付けはpureでないということになる。
 もっとも、この趣向自体まだ充分希少性があるし、意味付けのダブりがそんなに気になる訳ではないんだけど、もしここがスッキリ処理できていれば、配置ももう少し整理できていたのかなとは思う。」


流石鋭い。
仰るとおりで、角合は純粋な不利合駒にはなっていません。三輪さんのコメントにもあるように(手順解説では紛れC~F
>84角は96飛、56銀成、37銀、47玉、48金を取るため。 
>74角は逆王手。
>64角は37に利く。
>54角は43龍に23玉、32歩成、43角。
という意味がそれぞれ複合してしまっています。(実は私は解いた際には気づかず、解説稿を書いていてはじめて気づいたのですが。)
これ自体も弱点と思いますが、それによって配置面に制限を受けてしまった感もありますね。
このあたりを改善できれば、さらに収束における42龍の取り残され感を払拭することもできたかもしれず、残念なところです。

この順は48銀で詰んでしまうので、正確には96飛、56銀成、37銀、25玉、26歩、15玉、27桂、同成香、16歩、同玉、27金、同玉、28銀上、18玉、19香、29玉、39金を同角成で逃れるようにする意味のようです。
divDさん、ご指摘ありがとうございます。


名無し名人
「これは明快で面白い。
上田吉一氏の成銀を移動させる名作を思い出しました。不利合駒2回で表現しているところが相馬流ですね。
こういうテイストの作品をもっと発表してほしいです。
42龍が残るのが不満ですが、作者のことだから気にしていないのでしょうね。」


高坂さんもコメントしていましたが、ご明察のとおり、上田吉一氏の名作は本作と関連しているはずです。
本作の元になった「テレポーテーション」、(恐らく)その元になったのが上田氏の作品です。 
「テレポーテーション」は上田氏作の飛合版という感じですね。(尤も1サイクルに二度飛合が入るあたり、ちゃんと新作へと昇華されていると思います。)
不利合2回で表現しているところに相馬氏らしさがありますよね。

こういうテイストの作品をもっと見たい、というのは同じ気持ちですが、一方で普段の相馬作品ももっと見たいので複雑です。両方作ってください(笑)

42龍への不満はもっと来るかと思っていましたが、思いのほか少なくて、言及していたのは三輪さんと名無しさんだけでした。長編だとこんなもんなのかも?でも私は気になります。私、気になります!(突然のえるたそ

さらにその「テレポーテーション」に触発されて上田さんが作ったのが、『極光21』第97番(詳しくは補足記事に)のようです。
高坂さんから教えて頂きました。ありがとうございます。


咲花
「不利合駒と有名な趣向手順との融合。
構想に関しては「新しい」という感じは個人的にはしませんでしたが、飛合角合をあっさり表現してるあたりは作図力の差を実感しました。
この趣向を始めてみた人には、意味わからんのでは?少なくとも易しくはないってw」


新しさは確かにあまりないのですが、面白い手順だと感じられればそれが作者の本意でしょう。
易しくはなかったみたいで反省しています。私は「不利合テレポーテーション」だと聞かされてから解いたので易しく感じただけかも。


谷口 翔太
「解き終わって、先ずは名作誕生と思う。
16歩打が打歩詰になるか否かの攻防戦。
遠打の飛を捌いて打歩を避けると、応えて角の中合と飛合が待っている。
この巧妙な一連の趣向に感心。
ブログで幾つかの相馬作品を解いて思うこと。
そろそろ、ブログで発表された作品から看寿賞受賞作品が出る、出ても良いだろうな、です。」


趣向手順1ブロックが巧妙なんですよね。構想型趣向作というのでしょうか。

そろそろブログで発表された作品から看寿賞作品が出てもおかしくないという気持ちは年々高まっています。
今の状況を見るとその第一号は相馬氏になるような気がしますが、果たして……?

今年の看寿賞選考から目が離せません!


正解者(敬称略、順不同)
divD、YANAGI、冬眠蛙、三輪勝昭、高坂研、名無し名人、咲花、谷口翔太


今回も多数の解答、ありがとうございました。
次回があるかは未定ですが、ありましたらまた解答をよろしくお願いします。

[ 2014/11/01 00:00 ] 相馬慎一作品展 | TB(0) | CM(0)
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