tsumegaeru 作65桂、72玉、73歩、61玉、
A 52銀、71玉、72歩成、同玉、73桂成、同玉、63銀成、同歩、65桂、迄13手。
A 53桂打は同角、同桂生、同馬、72角、51玉で逃れ。
評価数 18 誤無解・無評価 1+1
評点
4.00 [0 4 10 4 0 0]
順位
5位
今回の課題競作で個人的に一番手順構成が良いと思ったのが本作です。
65桂~73歩~52銀と続けざまに駒を打ち、即座に72歩成~73桂成~63銀成と成り捨てる積み崩し手順は課題bの理想的な表現ですし、それが終われば初手と同じ65桂の一手で詰め上がるのは手順の純度の上で最高の幕引き。
さらにその際初めと違っているのは僅かに6筋の歩の位置のみというのもやはり課題a,bの理想的な表現になっています。
詰将棋としての妙味も申し分ないですし、今回の課題をテーマとして作る上でこれ以上の手順構成はありえないと思わされる見事な手順。私が6点をつけるならこの作品です。
これだけ理想的な手順なのに配置もあまり無理をしたところがなく、まさに完璧……と言いたいところなのですが、一箇所だけ気になる点がありました。それが22飛の配置です。
この飛配置の意味は最終手82飛成の余詰を消すことなのですが、つまるところこれは「課題a:初手と最終手が同一」を成立させるためだけの駒。例えばこれと持駒の桂1枚を省いても詰将棋としては完全になります。
もちろん最終手が65桂であることには非常に大きな価値がありこれは紛れもなく必要駒、むしろ重要な駒です。しかし欲を言えば、作家としては最後は65桂に"限定されるべくして"限定されていていて欲しかった。
22飛を置いたことで最後の65桂に無理やり成立させたという感じが出てしまったのが玉に瑕というわけです。
ただあくまでこれは本作が良いからこそ気になる瑕です。瑕だらけのものに一つ瑕が増えたところで別に気になりませんからね。この瑕があるから本作は駄目というわけではなくて、本作が素晴らしいからこそ、こんな僅かな瑕が気になるのだということは念を押しておきます。
ところで私はこういうとき、すなわち完璧に完璧が重なって、なのに最後の最後で僅かに気に入らないことが生じるとき、私は「神様に愛されなかった」と言ったり思ったりします。
この表現(既出なのかもしれないけれど)、よかったら使って下さい(笑)
tsumegaeru(作者):
3つの課題全てを意識した作品です。最終手以外の全ての攻方の指し手が「後で動かして捨てることになる打ち駒」と「事前に打った駒を動かして捨てる手」のみで構成されているのがこだわりポイントです。とことんこだわることが名作誕生の秘訣?
柳原裕司:
12手目までがb×3。すべての着手が課題を満たしている、満点の表現。
三輪勝昭:
初形と最終手を指す前は62歩が、63歩になっただけ。
このようにA局面→B局面は一つ変わっただけと言う創り方を僕は原形戻しと呼んでいて、僕が最も好きな創り方。
だからこの作品は僕の作品と思っているのである(笑)。
ん。何か間違えている。自分のブログでも同じ間違えをしたような……(笑)。
この作品は打った駒を後から捨てるを3つやって原形戻しやっていて、課題の面白さを最も生かし、尚且課題作でなくても面白い作品と言えるだろう。
ただ余詰防止に大駒3枚は多いかな。私も課題作じゃなくても傑作だと思います。
作者予想?はハズレです(笑)
名無し名人:
個人的にはこの作品が一押し。打った駒を捨てる手順は好み。これで課題を全部クリアしているとはお見事。しかし作者の予想がつかない。消去法でikironさんと予想したが(ということは⑥はtsumegaeruさんか)、違和感がある。名無し名人さんも一押し。好みが合いましたね。
自作と予想していただいたのはとても嬉しい(そうだったらどんなによかったことか……)のですが、こちらもハズレです。
鈴川優希:
これも対比が巧いが配置にもう一工夫あるといい。桃燈さん?ではtsumegaeruさんと私と桃燈さんとの合作ということに……なりませんか。
divD
12手かけて歩を動かす。22飛は課題aを達成するためだけのようだ。勿体無い!実は22飛配置が気になりだしたのはdivDさんに最終手を限定する意味しかないだと教えてもらったからだったり。
鋭い観察眼です。
VAN:
歩をちょっと動かすのに大仕事。テーマを自然に取り入れている。
彼方:
3枚捨てて歩をひとつだけ進める、こういうの好み。
桃燈:
玉方の歩を一つ動かすために3枚使う贅沢。
そてつ:
こちらは銀桂歩を使って歩を上げる。
千年回廊:
初形と最終形で歩が進んだだけというおもしろさ。やはり初手を指した局面と詰上りとの対比について言及した評が多かったです。
12手と3枚かけてこれだけしか違いがなく、しかしそれだけの違いで一手詰になるというのは訴える力がありますよね。
ぬ:
打った駒の3連捨てが素晴らしい。
河童生:
次々に打った駒が、次々に消えて行く。
65桂打で始まり、65桂打で終わる、これも一趣向ですね。
オオサキ:
直接の打ち捨てで歩を動かさないところにセンスを感じる。
たちおか:
銀を設置してからの巻き戻すような手順が好きです。
くろかず:
3連続捨て駒でフィニッシュ!結構好きです。
ゆーてん:
これぞパズルって感じですね。「初手と最終手が同一」ってヒントがなければ解けなかったです。
有吉弘敏:
想像通りの詰め上がりですね。
黄楊の輝き:
流れのある手順。3つの条件を全て満たしているところに技術を感じる。