くぼの詰将棋

タイトルは怒られたら変えますw

この詰将棋が好み!2014年度版

結果発表のあった作品から好みのものを備忘録的に書き留めていきます。
出来のいいもの、とか評点の高いもの、とかではなく、極めて主観的に好みのものを書き留めます。

長編はわからないので基本的に割愛しますが、いいとわかったものについてはコメントで触れたいと思います。

作者名は敬称略。


詰将棋パラダイス2014年8月号

2014 8 小8
すぐに56桂は同角と取られて逆王手。そこで36桂、同角、45歩、同角、56桂、同角と迂回させて56に生角を呼ぶのがメインとなる構想。
攻方王を上手く使って舞台装置をシンプルに纏めており、好感が持てる。
超短編として異色の好作。

2014 8 中10
合駒の桂を不成で跳ねさせるテーマ。テーマ自体はありふれているが、前後の張りつめた手順や無駄のない配置に作者の高度な作図技術を見ることができる。
特に39飛、同玉、17馬、同桂生、34飛と立て続けに大駒を捨て去る怒涛の収束は圧巻で、直前まで働いていた駒だけに爽快感は一入だ。作家的に理想的な組み立てだと思う。

2014 8 デパ2
54角の軽い限定打や33歩捨合を含む軽い導入の後、33馬を14桂に打ち換えてから25桂~33桂生!とすることで33馬が33桂に変わるマジックが面白い。これで打歩詰が打開され、14歩が打てるようになるわけだ。
14歩、22玉に21桂成、同玉、54角と序の形が再現されるのもちょっと乙な収束。軽い形で面白い手順を実現した作者らしい好作。

2014 8 デパ3
軽い持駒変換手順の中に、75馬として53桂合を発生させておく伏線があり、これを省くと66馬に55金合というちょっと意表の合駒で逃れるところも素晴らしい。
しかもまったく無駄のない配置でこれだけの手順を実現しており、これ以上ない完成品と言えるだろう。

2014 8 デパ4
66桂~55桂と連続して移動中合することで、76角を21まで利かして打歩詰に誘致するという構想。既存のものだとは思うが、それをこの形と手順で纏めてあるところに価値がある。
詰上りではじめて効果がわかる序の23銀生や桂をきっちり無駄なく使い切っての収束など、この構想の決定版と言っても過言ではなかろうと思う。


他では高10がいいと思ったが、角の1回転というとどうしても山中龍雄氏作が印象に強く、評価上割を食ってしまう。とはいえ成立構造が違うので新作であることは間違いないし、優れた作品であることにも異論はない。

8月号はデパートが良かったと思う。
また、「夢想の研究①」と題された若島氏の論考はとても面白かった。不定期連載らしいが、早く次を読みたい。



詰将棋パラダイス2014年7月号

2014 7 高1
本作はスマホ詰将棋パラダイスとの二重掲載が起こってしまった曰くつきの作品なのだが、内容は一級品。
主眼となる左へ右へと銀や角を打ち換えていく手順はリズミカルでとても心地がよい。また間に挟んだ34銀捨て、収束の43飛成などは軽い雰囲気にマッチして適度な味があり、機械的なものを感じさせない。
詰将棋として自然な流れの中に、きっちりとテーマを描ききった好作と思う。

2014 7 高2
玉方の応手は徹底してと金を縦か横に動かす手で、と金がまるでパズルのように繰りかえられていくのが実に面白い。
またこういうのをやろうとすると大抵配置だったり仕組みだったりが大仰になるものだが、本作は配置も仕組みもシンプル。ポイントとなっているのは恐らく6手目のと金移動合で、これを挟んで前後に手順を繰り返すことで同じ配置・同じ仕組みを2度活用するアイデアが、手順に奥行きを持たせつつ形をコンパクトに纏めることを可能にしたのではないかと思っている。
入選2回の作者の作品とは信じられない出来栄えで、早く次作を見たいところだ。

2014 7 高3
小型ながら構想作。2手目の飛合が6手目に移動合して攻方の香の利きを通し、打歩詰に誘致するための合駒だ。
構想自体はそれなりに前例があると思うが、本作ほど簡素な構図で実現したものはないはず。私も一度この構想で作ってみたことがあるのだが、この作品を見た後では恥ずかしくて到底見せられない。
しかも収束までこの構図内できっちり纏めてあり、この筋の一つの決定版と言えよう。是非記憶に留めたい一作。

2014 7 短1
7月号の、いや2014年の目玉となる構想中編。
6手目の合駒が主眼だ。ここで例えば16歩のような合駒は18飛として詰む…というところで、18歩!と合駒するのが作意。わけがわからない。飛が行こうとしているところに行きがけの駄賃まで用意するようなこの合駒は、まるでばか詰だ。
そしてこれに対する攻方の手がまた凄い。落ちている18歩を取らずに28飛!と途中停止するのである。
この魔術めいた応酬の原理は、69角と18飛(19香)の両方の利きが通っていると打歩詰になるという実はシンプルなもの。つまり18歩とあえて取られる位置に合駒するのは18飛とされたときにその飛の利きを止めてしまわないようにするためであり、これをあえて取らずに28飛とするのは一旦角を取らせてその利きを消してから18飛と1筋に利かすためなのだ。
あえて取らせる合駒、「取らせ合駒」とでも呼ぶべきこの新構想には「やられた」と言うほかない。論理的に面白いことももちろんなのだが、何より18歩、28飛の応酬はありえない手順だとは思いませんか?
さらに本作は初手19香(構想と連動している!)の序にはじまり、馬を捨てて打歩詰を打開する収束まで完璧すぎる構成。こんな手順ができてしまうから、こういう作品があるから、だから詰将棋はやめられないのである。

2014 7 短3
序のポイントは33銀生と捨てておくこと。これは9手目に33飛成と金を取れるようにするための軽い伏線になっている。
そして10手目からが圧巻。35桂中合自体も妙手だが、さらにこの桂が27同桂成、26同成桂、25成桂と引き戻ってくるのだ。この端正な初形からは想像もつかないスケールの大きな手順には驚かされる。
桂中合という(作者曰く)ありふれた素材を極限まで練り上げた秀作。

2014 7 デパ3
78の角を馬に変えて1手詰。それを開き王手を利用した角馬の位置変換パズルによって実現するのが主眼だ。
解説でも語られていることだが、本作では位置変換の制御がすべて「線上の駒が物理的に邪魔になる」という点のみにおいてなされているのが極めてスマート。その原理だけで、89-12を角馬が行き来する何通りもの手順の中で最も回りくどく面白い手順が作意として成立しているのである。
34飛を置くだけで、どうしてこうもうまく理想の手順に限定できてしまうのか。簡単にやっているようにも見えるが、その実9×9の神秘を最大限に活かした奇跡的な作品なのではないかとも思う。

2014 7 デパ4
飛のラインで銀が行ったり来たり。構図としては割とポピュラーなのではないかと思うし、私も考えたことがある。しかし考えたことがあるからこそ本作を凄いと強く感じるのだ。
16歩と17との剥がしだけなら平凡な発想なのだが、それを35桂を取りに行く手と46桂を取りに行く手で挟むことで銀繰りの距離が大きく伸び、テーマがくっきりと表現されているのがまず目を惹くところ。最後はさらに44~33にまで転回していく徹底ぶりである。加えて45飛は限定打で据える、35桂はそれに対する中合で出す、など詰将棋的な演出も素晴らしい。まさにやりたい放題の手順といえよう。
そして極めつけは、ここまでやっておきながらこの簡素な初形だということ。作者の力を持ってすればこれくらい出来てしまうのかもしれないが、それにしても嫉妬してしまう完成度だ。


長編では院10の馬屋原作「ガチャポン」とデパ⑤の佐々木浩二作「二重環」がいいと思った(わかった)。
「ガチャポン」は新型云々については知識不足でわからないのだが、随分前の合駒が押し出されていって取れるようになるのが不思議な感じで面白かった。
「二重環」は中編感覚の長編。いや中編だと思うのだが、手数区分上は長編になってしまうのが賞選考上不利なところ。神谷氏の短評にあるように「手数のハンデを乗り越えて712号に掲載されることを期待」したい。

7月号も充実の内容。ここに挙げた以外にもハイレベルな作品が集まっており、とても楽しませてもらった。
中でも短1には詰将棋の神秘を垣間見たような気がする。



詰将棋パラダイス2014年6月号

2014 6 A2
44香の限定打で龍の横のラインを遮れば、玉方は43角中合でこれをこじ開ける。
ならばとその角で龍を三段目に呼び出し、あくまで4筋の香を壁に龍のラインを止める。
この一貫して龍の横利きを巡り繰り広げられる目まぐるしい好防が素晴らしい。
序の角の限定打、あくまで34の香を取りに行く42桂合なども彩りを添えており、A級優勝も納得の秀作。
ただ3手目以降左辺の配置が取り残されて見えるのが少し気になっている。

2014 6 A5
3手目普通は54角成とするところで、敢えて取れる香を逃がすような56金~54角成が妙手順。
要は後で47香と打つために47金を邪魔駒消去しておくのだが、その打つ香を逃がしてしまうように見える(実際にはその後56地点で香を取れるので逃がすことにはならないのだが)この表現は新鮮に映った。
以下は流れ気味の手順ではあるが、目的であった47香がそれ自体好手なので悪い感じはしない。

2014 6 B4
角打角合を繰り返して龍を翻弄する軽趣向×翻弄モノといった趣の作品。
面白いのは、ほんの僅かな龍の位置の変化によって手順が導かれていくことだ。
いきなり58金ではなく、角打角合で一度龍を一つ動かしておく。続いて角打角合で龍を一つ動かして、57金で玉を戻す。
ここでまだ局面はそれほど動いていない。初形と比べて、龍が2つ下に動いただけだ。
しかし再び92角と打てば、今度は同龍と取れる……いや、取るしかない
ほとんど変わっていないように見えて、しかしそれが実は重要なキーになっているという感覚と実際との乖離を非常に魅力的に感じる。
しかもこれだけのことをやりながら、その仕組みはシンプルで配置にも無理がない。作者のセンスを遺憾なく発揮した傑作で、今年のB級順位戦を制した。

2014 6 C2
初手からはできない75馬~87王。それを最後に実現するストーリー性溢れる展開が本作の肝だと思う。
75馬だけが再現されることはそのストーリー性を強調している。
そして本作はそれだけではなく、64角捨合や、56飛と捨てておいて逆から打つ98角など、個々の手順にも魅力があって、全体として気品を感じられる仕上がりだ。美しい。

2014 6 C6
3香連打←わかる
3香連打で翻弄←まあわかる
銀の成らせ←わかる
手数をかけた銀の成らせ←まあわかる
3香連打(+桂捨て)で銀の成らせ←!?!?!?
まあ、そういうこと。なんでこんな手順が出来ちゃったんだろう。
収束も華麗すぎて言うことなし。上部の歩の配置が少しだけ鬱陶しいが、本作の素晴らしさに傷をつけるようなものでもあるまい。C級優勝の傑作。

2014 6 デパ3
本作は細部を分析してどうこうという作品ではないだろう。
一貫した流れの中で少しずつ解れていくパズルのような手順は、並べるだけで爽やかな気持ちにさせてくれる。
そして大駒をきっちり捨てての着地。お約束だが、これでこそ詰将棋。
巨匠の快作である。


長編はデパ⑤に田島秀男氏の作品があったが、残念ながら私のスカウターでは測れない。
でもやっぱり凄いんだろうなあ。そのうち勉強します。

6月号は順位戦。例年はゲテモノばかりが揃うイメージで余り印象がよくないのだが、今年は満足。
特にB級とC級の優勝作は頭一つ抜けている感じで、両作とも看寿賞の有力候補だと思う。今年の短編賞は嵐の予感。



詰将棋パラダイス2014年5月号

2014 5 小22
龍の王手で香中合を出し、その頭に龍を捨てるアクロバティックな手順。
そういった視覚的な面白さも勿論魅力的だが、もっと魅力的に感じるのはそれが只一本の論理の上に成り立っていることだ。
35に中合をするのは角の44への利きを遮るためであり、それが香限定であるのは39に利かせるため。
対して龍を捨てるのは角を44に利かせるためであり、それが36限定であるのは香の39への利きを遮るため。
この歯車がぴったりと噛み合っているような好防が何とも美しい。A。

2014 5 中21
何より序の4手。よくぞこれほど虫の良い手順が成立したもので、角のスイッチバックの表現として最高位の手順と思う。
特に55飛の限定打に45角の移動中合で返す手順はそれだけ取り出してみても素晴らしい応酬だ。
香2本の打ち場所非限定はあるが、以下も綺麗に纏まっていると言ってよいだろう。

2014 5 中24
68馬を防ぐ香合~それを遮る67角の限定移動がメインの応酬。やはりこれも一本の論理の上に成り立っている。
手順の華やかさでは小22に劣るが、本作では間に角のラインを通す55飛捨てが入ったり、限定移動の感が強かったりと、より理知的な構成になっていると思う。
構図の取り方や無理のない55飛捨てなど、作家として見習うべきところも多い作品。

2014 5 高25
83歩合を発生させさらにその筋に89飛と限定打することで、8手目飛の焦点に合駒をする手を拒否する構想。
歩合の発生というプロセスを加えたところがオリジナリティであり、コロンブスの卵である。
個人的には「どの筋にでも歩合ができて、その筋に飛を限定打する」という表現にしたほうが好みだが、作者はシンプルな表現に拘ったようだ。勿論、この纏めであれば納得せざるを得ない。素晴らしい。

2014 5 大15
視覚的にも美しい歩の5連合。しかし注目すべきはむしろその意味付けだ。
普通オーロラと言えば例えば97馬に86香合と受け88馬に同香成と取れるようにするその理由は、合駒を稼がせないためではなく、馬の連結を防ぐためである。というのも、合駒を稼がせないためのオーロラはこの構造では不可能だからだ。86香合、同馬、75香合(~77馬、同香)とするよりも、75香合~88馬、77香打合、同馬、同香とする方が明らかに玉方にとって優位である。
しかし本作では香の「支え駒の」歩のオーロラにしたこと、そしてその歩が香の利きへの合駒を二歩禁で制限していることが上手く作用して、合駒を稼がせないためのオーロラが実現しているのである。
簡潔に言おうとすればどうしても言葉足らずになってしまうのだが、並べてみればいかに都合よく駒が働いているかがわかるはずだ。収束は少しだれているが、配置との兼ね合いを考えれば十分。オリジナリティ溢れる傑作だ。

2014 5 デパ3
本作は打って変わって非常にシンプルな、しかし素晴らしい作品である。
この銀の捌きを見よ。なんと自由奔放で美しい舞だろうか。
ロジカルであるがゆえの美しさもあれば、自然であるがゆえの美しさもある。
しかし自然に任せれば普通は作品になどならないのである。自然が美しいのはほんの一瞬だけ。
本作はその一瞬を見事に切り取っているように思える。

2014 5 デパ5
16手後の局面は、一見しただけでは4手後の局面から14桂、同飛の2手進んだだけに見える。
しかし実際には12手も進んでいるというのが摩訶不思議。
さらに言えばその手順は似た局面に回帰してくるとは思えないような見事な手順なのだから、驚きも一入である。
さらにさらに、17手目に25香とすれば23角合以下局面はループし、狐につままれたような気分を味わえる。
作意は24角成とし、32銀合以下極めて極めて極めて華麗な収束。こんなに都合よくいっていいのだろうか。
何から何まで完璧、好みどストライク。客観的に見ても傑作ではなかろうか。


5月号は傑作揃い。これらのほとんどが看寿賞の候補に挙がることになるだろう。
あくまで賞選考という観点で言えば高25は特に有力なように思っているが、果たして……?



詰将棋パラダイス2014年4月号

2014 4 小17
初手から34飛と35飛~34王とでは3筋4筋の位置関係が入れ替わっているだけ。
39/49への利きの有無だけでこれらが片や作意、片や紛れとなるのが面白い。

2014 4 小20
馬を角よりも前に持ってくるために限定移動をする狙いを明快に表現。
同一手順作があったようだが本作では形が格段に整理されていて余り気にならない。

2014 4 中16
初手から25銀では何の面白みもないが、重く35銀~34銀~25銀と回りくどくいくのが面白い。
直後の15金も感触のいい好手で、文句無く好作と思う。

2014 4 中19
2014年中学校上半期賞作。
2手目35合に対して33銀を読まされるので、46合に対する13銀が強調されている。馬2枚を捨て去っての纏めも完璧で、11手詰として完成されている印象。
細かいことを言えば8、10手目がともに成生非限定なのは割と気になったが、それを差し引いても受賞は当然の傑作と思っている。

2014 4 短17
攻方の馬の利きを閉じるための歩香重ね打ちを中心に邪魔駒消去や伏線を盛り込み、それでいて手順には統一感がある。
中編の一つの理想形とさえ感じさせる傑作で、上半期にパラ誌上で発表された中編の中で個人的には最高の評価。

2014 4 デパ2
歩を消費して13歩を消しておく伏線と、以降の洗練された手順とが無理なく無駄なく調和している。この過不足のない感じがとても好み。
24歩~23歩成ではなく24歩~12歩成~23歩成と回りくどくなっているところ、2歩禁回避が目的なのに歩を使い果たしてしまうところなど、伏線の質も上等。

2014 4 デパ4
収束の92角生以下は今や共有手筋だが、本作では83角生と83で停止する限定移動が加わったことでそれが見事に調理されている。
一見単純に見える89香の利きを止めるという意味づけも究極的には龍ソッポから龍を79で連結させるという高度な目的のためなので安易さを感じさせないし、むしろ龍ソッポに対する歩中合などの手順はメインに彩りを添えている。
この収束のヴァリエーションとして、一つ記憶に留めておくべき傑作だろう。


長編は院7が結構好み。ただ手数を考えるともう少し何か欲しかったかもしれない。
合駒モノは基本的に中編手数がピッタリしているのではないかと思っている。

中短編では上で挙げた作品以外に中18、デパ①が良いと思った。
短大・大学の曲詰もいい作品なのだろうとは思うが、好みということでは3月号短12が上。
お前は曲詰のことを何もわかってないと言われたら反論できませんが。

4月号も豊作。上半期賞7作のうち、実に3作が4月号発表!



詰将棋パラダイス2014年3月号

2014 3 中15
香連打で玉方駒を翻弄する作品は数あるが、その中でも上位に位置する作品と思う。
変化・紛れの割り切りに無理がなく、配置には機能性がある。完成品。

2014 3 高12
作者が作者だけに飛び道具の扱いが上手い。中でも42角が光る。

2014 3 短11
まだこんな図がありました!右上の折衝は余り見たことがない感じ。

2014 3 彩棋会1
課題「4×4図式」に対して4→4の立体曲詰(勿論4×4図式でもある)という遊び心が気に入った。

2014 3 たま研1
2歩禁回避のために34歩を取らせようという不利逃避に対して、34歩を取らないように25桂~35角と捨てる応酬が面白い。
銀の成生が限定されていたり、細かいところも流石によく作られている。

2014 3 たま研2
2歩禁回避の33香合と、それに連鎖して発生するやはり2歩禁回避の25桂合。
純粋にその論理が面白く、最後に桂合が逆用されて詰んでしまうのもテーマに呼応的で素晴らしい。

2014 3 デパ1
65馬と捨てて飛車を遠く15に利くようにしておくのが狙いの伏線モノ。
歩を一枚損するところや、馬が左辺を抑えているように見えるところなど上手くできている。


長編は前例などについてはよくわからないのだが、院6の馬の動き方は面白いと思った。

中短編では上記作品以外に高11、高13、短12、短15、デパ④、大7が気になった。
高11、13は作者に対する期待大。次作が待ち遠しいところだ。
曲詰は無骨な手が入りがちだが、短12は手順に美しさを感じる。ただし曲詰というありふれたテーマがどうか。
短15は狙いがはっきりしていてよく出来てもいると思うが、この作者にしては、という感じ。有名税かもしれない。
大7は好形好作好手順の3K、いや好形好手順の好作だが、57角、46歩合以降をもう少し短く纏めて欲しかった気がする。

3月号は豊作の印象。たま研作品展の存在も大きかったか。



詰将棋パラダイス2014年2月号

2014 2 高6
後に移動捨合して退路を開けるための銀成移動合を中心に完璧な手順で2月号の目玉。
桂成移動合を割り切るため、36を開ける意味とダブってしまっているのが少し残念だが、望蜀というものだろう。
これが小学生の作品とは信じられないし、最年少看寿賞の記録を大幅に塗り替える可能性もあるのでは。

2014 2 短6
美しい実戦形から、限定合3回を含む美しい手順で、こんな図がよく残っていたなというのが正直な感想。
個人的には2度目の14香が非限定なのが少し気になるが、これは望蜀に過ぎるか。間違いなく完成品。

2014 2 短7
後で利きを弱めて打歩詰を打開するための角の二段活用という構想。
構想自体は地味なものだと思うし、わかりにくくなりがちだと思うが、よくぞこれほどわかりやすく表現したものだ。
変化・紛れの処理も見事。

2014 2 短9
簡素な形から4種4度の限定合が出てくる合駒もの。
これという一手があるわけではないのだが、私は簡素形も合駒も完成度の高い作品も全部大好きなので。
反面解くのは嫌いだったりするけど(笑)

2014 2 短10
これまた簡素で美しい形から紡がれる美しい手順。
特に気に入ったのは93角や79竜がきっちり限定されているところで、完成度の高さが伺える。
短大の簡素形3作の中でも特筆して好き。


長編は割愛。

中短編では上で挙げた作品以外には中9、高8、大5が良いと思った。

2月号は全体的に簡素形の好作が目立った印象。



詰将棋パラダイス2014年1月号

2014 1 小1
最も詰将棋らしい49龍が作意なのは嬉しい。構図にもセンスを感じる。

2014 1 小5
27角~16角より、初手が好み。
作者が作者だけに多くを期待してしまうが、これはこれで完成品。

2014 1 高2
メインは44桂の限定中合だが、以降も17とを翻弄する好手順。
初形も綺麗で、愛すべき小品といった感じ。

2014 1 短4
歩成~桂打を3回。手順の雰囲気が一貫していて非常に良い。
1月号で一番のお気に入りかもしれない。

2014 1 大3
初形趣向や持駒趣向はプラスαでしかないと思っているが、本作は手順も素晴らしい。
特に38玉に対しての56馬、78玉に対しての56馬が対比的で印象強い。

2014 1 デパ3
飛先飛香自体がどうということはないのだが、本当に詰将棋らしく出来ている。
実現自体がそう難しくはない構想ならば、こう作るのだというお手本のような作品。


長編は院1が印象に強い。飛の2連不利合ということに目がいってしまいがちだが、歩を1枚でも渡すと先に飛を打つか歩を打つかを攻方が選択できてしまう、という意味付けが素晴らしいと思う。このような不利合駒を、少なくとも意識的にやった例はないのではないか。ただこの作者をもってしても収束には苦労した様子で、これが最善形なのかもしれないが、自分としては77角、66香が残ったとしても短く纏めて欲しかったところ。

中短編では上で挙げた作品以外には小3、大1、段位認定⑤、段位認定⑨が良いと思った。

1月号は全体で見るとやや低調かなと感じた。
[ 2015/05/28 00:00 ] この好 | TB(0) | CM(13)

詰将棋パラダイス 2014.9 アマ連杯握り詰③

017.jpg

34銀、 53玉、73飛成、44玉、63香生、55角、45歩、53玉、62香成、73角、44角、同飛、52と、迄13手詰


44玉は62香成、55角、45歩、53玉、73飛成、同角、44角、同飛、52と、迄2手早い


誤0 無3 正22



第30回詰将棋全国大会のアマ連杯握り詰(駒種:玉飛飛角銀桂香歩5)に出品したもので、幸運にも3位に入賞を果たした。
主眼は5手目63香生と、それに対比させた変化。作意でも62香成が現れるのは一面的には興ざめだが、これにより作意と変化の差異が63香生の有無だけになったのはちょっと面白い構成と思っている。

収束は限定の角合から龍と角を捨てることができて作家的には文句なし。
駒配置もピッタリで、「握り詰としては」最上の仕上がりだと我ながら思う……がしかし、本作一番のアピールポイントと言えるかもしれないこの点に、実は作者はほとんど関わっていない。

あるとき私は暇を持て余し、毎日1作の詰将棋を作ろうという三日坊主の計画を立てた。その中で出来上がったのが本作の原図(32と→金)である。
そしてたまたまその頃、アマ連杯の握り詰駒種が公表された。たまたま在庫に上の原図を見つける。32の金をと金に換える。完成。
もともとは普通作として作ったのだから、そりゃあ握り詰に比べたら纏まっていないと話にならない。纏まっていないと作家の沽券に関わる大問題だ。そういう事情で、本作は握り詰としては上々の仕上がりなのである。


短手数で易しいということで、本作だけでも解答してくれた方がいたのはありがたかった。

竹○健一「2手目の変化で香の移動先が違うのはうまい。」
岡○行晃「久保紀貴先生!やさしい作品をありがとう!(参加できて嬉しい。)」

先生はいくらなんでも面映い……(笑)


[ 2015/05/05 01:53 ] 発表作 | TB(0) | CM(0)