くぼの詰将棋

タイトルは怒られたら変えますw

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

コンピュータの功罪

アドバイスを受けて前回の「位置エネルギー」のエントリーに0.原理解説を追加しました。
手順解説だけではわかりにくかったという方は是非ご一読下さい。


さて、電王戦第三回がもうすぐはじまりますね。
ほんの少し前まではコンピュータが平手でプロ棋士に勝つなんて思いもしなかったんですが、今や棋士側が挑戦者といった感じで驚いています。
近いうちに羽生先生や森内先生、渡辺先生がやってもコンピュータに勝てなくなるかもしれませんね。

とはいえそれが私にとってショッキングだったかと言うと、それほどでもありませんでした。
何せ詰将棋を解く能力では随分と前から圧倒的な力を見せ続けられていますからね。
今やほとんどの人がコンピュータの力を多かれ少なかれ借りて創作をしているのではないでしょうか。

しかし一方で、コンピュータを創作に使うのはよろしくないという意見があります。
コンピュータと大の仲良しの私としても、余詰検討および余詰消しにはコンピュータをフル活用しますが、作意や変化手順の設定はコンピュータに関わってほしくないと思っていて、完全にはコンピュータを肯定できていません。
勿論このあたりは個人の感覚的な問題ですので、他人がどうコンピュータを使うかについて口出しをしようと言うつもりはありません。単に私はこう思っていてこうしているというだけの話です。

しかしコンピュータを使うこと自体の是非をとやかく言うつもりはありませんが、コンピュータを使って作られた作品については是非を問いたいことがあります。

一つは極端に難解な逆算、私はアンバランスに感じ、省いたほうがいいのではと思うことの方が多いです。
一つはコンピュータ検索による盤面象形、コンピュータに先を越されたら自力で探しているという人が報われませんし、少なくともそれは何も創っていない、つまり創作ではないと思います。作品としてではなく研究成果として出されるのであれば、まだわかるのですが。

そして一つは変化同手数の見落とし。
勿論たまに見落とす程度であれば理解の範疇です。コンピュータに頼る頼らないに関係なくありうる話ですしね。
しかしそれが多いというのは、(恐らくコンピュータの余詰なし判定にかまけて)自作の変化をろくに確認していないということですよね。
コンピュータを頼るにせよ頼らないにせよ、「自分が作った作品」なのであれば流石に変化手順くらいは確認したらどうかなあと、せめて変化手順をコンピュータに教えてもらうくらいはしてもいいんじゃないかなあと、思うわけです。
「自作」であるという意識が欠如してしまっているように感じます。


繰り返しますが、私はコンピュータを使うことがいいとか悪いとか言うつもりは毛頭ありません。
あるものを使おうが使うまいがそれは自由だと思っています。
しかし詰将棋創作に使うのである以上、それによって作品が悪くなってしまうのでは本末転倒ですし、作品に作者が創った部分がなければそもそも創作ではなくなってしまいますし、何より作品に「自分の作品」であるという意識が持てなければおかしいと思うのです。

異論は認めます。


最後になぜかうちの柿木将棋が解いてくれない没作を載せておきます。
没作だけにつまらないですが、解図でうちのコンピュータを越えるチャンスですよ!w

ちなみに改作の余地はいくらでもあるとは思うのですが、徹底して作ったら別の作品になりそうなのでこの図は出しちゃってもいいかなと思っての出題です。お手柔らかに。

blog001.jpg
スポンサーサイト
[ 2014/03/14 14:00 ] 余話 | TB(0) | CM(14)

詰将棋パラダイス 2013.11 大13 「位置エネルギー」

013.jpg

平成25年度下半期賞(大学)、平成25年度看寿賞(中編)


A 47銀、同玉、B 65馬、イ 36玉、C 72角生、ロ 63歩、D 同角生、ハ 54歩、E 同角生、46玉、F 55馬、47玉、65角、36玉、37歩、同桂成、54角、25玉、34銀生、ニ 同玉、45角、ホ 25玉、26歩、15玉、33馬、ヘ 24金、16歩、14玉、G 24馬、同玉、25歩、同玉、15金、迄33手詰


A 72角成、37玉、38歩、同玉、83馬、39玉、以下逃れ
B 56馬、36玉、a 72角成、37玉、にて打歩詰
( a 37歩、同玉、以下逃れ)
C 72角成、45歩、同馬、37玉、にて打歩詰
D 54馬、37玉、以下逃れ
D,E 同角成、45歩、a 同馬、37玉、にて打歩詰
( a 同角成、45歩、37歩、同桂成、45馬、25玉、34銀、15玉、16歩、14玉、23銀生、13玉、22銀生、14玉、以下逃れ)
E 同馬、47玉、a 74角成、56歩、同馬、37玉、にて打歩詰
( a 74角生、57玉、以下逃れ
 a 65馬、56歩、同馬、37玉、にて打歩詰)
F 56金、47玉、48歩、38玉、57金、39玉、以下逃れ
G 23角成、同金、15歩、13玉、以下逃れ

イ 46玉、56馬、36玉、72角成、37玉、73馬、36玉、46馬、迄
イ 56歩、同馬、36玉、37歩、同桂成、45馬、34銀生、15玉、16歩、14玉、25銀、13玉、24銀、同玉、34角成、14玉、15歩、同玉、16銀、14玉、23馬、迄
ロ 54歩、同馬、a 47玉、83角生、b 56歩、同角生、57玉、67金、46玉、45馬、37玉、55馬、c 36玉、37歩、同桂成、45馬、25玉、26歩、15玉、16歩、14玉、23馬、迄
( a 37玉、27馬、47玉、83角成、46玉、56馬、迄
 a 45歩、同馬、47玉、48歩、38玉、27馬、39玉、28銀、29玉、83角成、迄
 b 46玉、56角成、37玉、55馬引、36玉、46馬、迄
 b 65歩、同馬、46玉、47馬、45玉、72角成、44玉、54馬、迄
 b 74桂、同角成、56歩、同馬、39玉、29桂、迄
 c 46飛、38歩、36玉、46馬、同玉、47歩、55玉、54飛、迄)
ロ,ハ 46玉、55馬、47玉、83(74)角成、36玉、72(63)馬、47玉、56馬、37玉、73馬、36玉、46馬、迄
ロ,ハ 45歩、同角生、46玉、56金、a 37玉、55馬、47玉、46馬、38玉、27角、同玉、28馬、36玉、46金、迄
( a 47玉、57金、同玉、56馬、迄)
ニ 15玉、33馬、24金、16歩、14玉、24馬、同玉、33銀生、13玉、24金、12玉、22と、迄
ホ 43玉、54馬、迄
ホ 24玉、23角成、25玉、26歩、36玉、14馬、迄
ヘ 24香、16歩、14玉、23角成、迄
ヘ 24飛、同馬、同玉、25飛、14玉、23角成、迄


誤5 無2 A19 B3 C1 ※2 平均2.78


0.原理解説
ここでは本作のメインテーマとなる「連続打診合」(作意手順中63歩合~54歩合)が成立する原理を簡単に説明する。
尚、本節の作稿にあたっては三輪氏に非常にお世話になりました。ありがとうございました。

013-01.jpg

図は5手目72角生とした局面。ここで
①72角が馬だと45歩合、同馬、37玉で打歩詰。これは63や54に馬がいても同じ。
②72角が成れない位置までいくと46玉で逃れ。これは46玉に55馬以下83角成~73馬とするため。
③ただし45までいくと56に利くため詰む。そのためいきなり45歩合は利かない。
④そこで54歩合が打診合。①、②により同角成とも同角生ともできないので、以下同馬、47玉、83角生と進む。

013-01.jpg

⑤83角が馬だと56歩合、同馬、37玉で打歩詰。これは74や65に馬がいても同じ。
⑥83角が成れない位置までいくと57玉で逃れ。これは57玉に56角成とするため。
⑦そこで打診合をしたいが、74歩合は二歩で不可。65歩合は同馬と角馬を連結できて簡単に詰む。
⑧この時72角→83角生ではなく63角→74角の形であれば打診合の必要なく成生が確定する。⑤、⑥に従い角成ならば56歩合、角生ならば57玉で逃れ。
⑨そのためテーマ図01から54歩合としてテーマ図02となる前に、63歩合、同角生としておく。これは⑧において成生を確定させるための間接的な打診合。

以上の原理により、63歩合、同角生、54歩合の「連続打診合」が成立している。


1.手順解説
初手は初形の玉位置を整えるための軽い導入。
同玉に3手目65馬とそっぽにいくのが序としては味のいい手で、56馬では打歩詰となるのが構想と呼応している。
そこで56歩合は当然考えられるが、この場合は同馬、36玉に37歩と叩き、同玉のときに38に打つ1歩があるので詰む。(変化イ 56歩)
また46玉も55馬以下、46香が消えた効果で73馬と王手できるので詰んでしまう。(変化イ 46玉)
以降も角が成れる状態で46玉とすると常にこの筋があるので、玉方はなかなか46玉とできないことを覚えておいて欲しい。
そのため玉方は36玉と逃げ、対して72角生とした局面がテーマ図01。
ここ成ると45歩合で打歩詰となるのは先ほどと同じ理屈だ。

013-01.jpg

72角生に対して45歩合は同角生とできるので詰む。(変化ロ,ハ 45歩)
それでは54歩合とするのはどうだろうか。
所謂打診合というやつで、角に成生の態度決定を迫る意味の手だ。
これを同角成だと45歩合で打歩詰に誘われ、同角生だと先の変化ロ,ハ 45歩とは違って生角の位置が54なので変化手順におけるaが成立しない。すなわち54歩合には同角成でも同角生でも詰まない。

しかし攻方にはまだ54同馬という手がある。
これに対して玉方は37玉では27馬がある(変化ロ 54歩 a 37玉)ので、47玉と逃げるところ。
対して83角生とした局面がテーマ図02。
尚、ほとんど繰り返しになるがここ成ると56歩合で打歩詰となる。

013-02.jpg

ただ逃げるのでは簡単に詰んでしまうので、再び妙防が必要だ。
まず考えられるのは56歩合だが、これは角生の効果で同角生とでき、57玉に67金以下少し変化はあるが詰む。(変化ロ 54歩)
それでは再び打診合とばかりに65歩合とするのはどうか。
同角成ならば56歩合以下打歩詰だし、同角生ならば57玉と逃げて先ほどの67金がない(角が67に利いていない)ので逃れだ。
しかしまたもや馬で取る手がある。しかも此方のラインで角と馬が連結してしまうのは玉方にとって致命的で、以下簡単に詰んでしまう。(変化ロ 54歩 b 65歩)

それならば74に打診合をしたいところ。ここならば同馬という手はない。
ところが、7筋には77に歩があるので、歩合ができない。74桂合としても、同角成、56歩、同馬、37玉に29桂と打てるので打歩詰の形に誘致した意味がなくなってしまう。
玉方万事休したか。

実はこの局面まで来てしまうと玉方には他に手がない。
そこで局面を遡って巧い応手を探さなければならない。
勘のいい人であればどこでどうすればよかったかにすぐ気づくだろうが、これは解説なのでなるべく遠回りをしよう。
54歩合の打診合に対して同馬とした局面、ここで45歩合という手がある。

013-03.jpg

この手の意味は45に馬を近づけておくことで、テーマ図02のように83角生とされても構わず37玉と逃げれば打歩詰になるというものだ。
しかし、普通に45同馬と取って、47玉に48歩がある。45に馬を近づけてしまうと、48歩に57玉とかわせなくなってしまう(56馬がある)からだ。
以下38玉に27馬、39玉、28銀、29玉、83角成迄詰んでしまう。45歩合は失敗だ。

それではどうするか。さらに局面を遡って、テーマ図01の局面が橋頭堡。

013-04.jpg

ここで63歩合!とするのがテーマ図02への展開を見越した間接的な打診合。
一見すると意味がなさそうにも見えるが、ともかく手順を進めてみよう。
これは同角生と取るよりない。54馬では37玉と逃げられて、角のラインが通っていないために27馬とできないのである。
以下、54歩合、同馬、47玉と先ほどと同じように進めた局面がテーマ図02'。

013-05.jpg

ここで攻方は選択を迫られる。すなわち、74角生とするか74角成とするかの選択である。
83は可成地点であるため、テーマ図02では83角生とすることで成生の選択を留保できた。
しかし74は不可成地点であるため、今度は成生の選択を留保できない。成か生、二つに一つである。
これは先の63歩合によって角の位置が72から63に変わったためであり、これこそ63歩合とした目的に他ならない。
そしてそれは結果的にはテーマ図02において74歩合と打診合をできた場合と同じ効果を持っているというわけで、間接的な(遅効性の)打診合になっている。

さて、74角成と74角生、どちらを選ぼう。
74角成ならば玉方は待望の56歩合。これは同馬と取るよりなく、37玉で幾度も見てきた打開不能の打歩詰。
74角生ならば56歩合や46玉には詰ますことができるが、57玉と逃げる手があってこれは全然詰まない。56角成(56馬)とできなければ57玉と逃げられてしまうのだ。
そういうわけで、実はこの局面は74角成でも74角生でも詰まない。
他に有力な王手は65馬くらいだが、これも56歩合としてやはり打歩詰に誘われてしまう。
つまるところ、テーマ図02'は詰まないということだ。

しかしそれは勿論本作が不詰めというわけではない。テーマ図01に戻ろう。

013-06.jpg

これまでの結論として、ここで63歩合、同角生、54歩合とするのが玉方の最善である。
そして既に述べたように63歩合は間接打診合、54歩合は直接打診合であり、併せて「連続打診合」となっているのが本作のメインであり、構想にあたる。
しかし構想については次節で詳しく書くことにして手順を進めよう。

54歩合に対して同馬では47玉でテーマ図02'となり、これが詰まないことは既に調べた。
それでは同角生や同角成は?
はじめにテーマ図01を掲げた時、54歩合とすれば同角成や同角生では詰まない(54同馬で詰む)と書いた。
しかし今考えているのは63歩合を経ての54歩合であるから、54同馬では詰まなくなった代わりに持駒が1歩多い。
結論から言えば、この1歩の差によって54同角生が詰むようになっているのだ。

54同角生以下は収束である。
46玉、55馬、47玉、65角、36玉、と角馬を細かく動かし、37歩、同桂成として再三打歩詰に誘われた37の地点を埋める。
そうしておいて54角とすれば47玉には56馬迄なので25玉。
ここで34銀生と活用するのが好手で、同玉に45角と角を一路近づける。
対して43玉は少し気になるが、よく見れば54馬の一手詰。24玉も23角成という好手があって変化ホ 24玉のようにギリギリで捉えることができる。
よって45角には25玉と戻る。以下26歩、15玉、33馬とする手順は特に紛れるところはないだろう。
ここで24香合などと安い合駒をすると16歩、14玉、23角成迄詰んでしまうのが角を45に近づけた効果。
これを防いで金合か飛合だが、飛合は同馬以下早い(変化ヘ 24飛)ため金合が最善。
16歩と打ってから24馬と切って落とし、25歩と突き捨てるのが感触のいい決め手だ。
同玉に15金迄。角金銀歩がうまく利いてぴったり詰みとなる。
この収束は構想作としては上々ではないかと思っているが、どうだろうか。

以上が作意手順の解説となる。
手順だけ見て全てを理解する人もいるだろうし、構想作としてはむしろそういう人が多くあって欲しいとも思うが、せっかく書いたので読んで欲しいという気持ちもあって複雑。
手順だけ見ればわかるけど、頑張って書いているみたいだから読んでやろう、とここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

注:変化・紛れの全手順に触れたわけではないので、手順を詳しく追いたいという方は上の変化・紛れを見て下さい。


2.構想について
既に書いたが、本作の構想は「連続打診合」。作意手順中、6手目63歩~8手目54歩がそれだ。
これは恐らく前例のない新しいものだと思うし、もしかすると連続という条件を外して考えても珍しいものかもしれない。
しかし、知ってのとおり個々の打診合については既に存在する。
そのため「連続打診合」をこれらの打診合からは飛躍した、新しい構想とするには、二つの打診合は有機的に結びついているのでなければならない。
そこで本作ではほぼ同様の打歩詰の構造(次図において46に馬の利きがあると打歩詰)でもって、二つの連続する打診合の両方を成立させた。

013-00.jpg

成立の鍵となるのは65馬配置で、恐らくこれが唯一絶対の配置。
この馬は基本的には29~92ラインに利き、54歩の瞬間にのみ18~81ラインに利きをスイッチして29~92ラインを開放することができる。
これにより、角は必要な場合(変化イ 54歩)にはスムーズにそのラインを変更でき、逆にできてはいけない場合(紛れD 54馬)にはそのラインを変更できなくなっている。
この65馬による成立機構は我ながら余りにぴったりできていて、本作最大の美点だと思っている。

付記:
ところで、「連続打診合」という構想に対して、つい先ほどネット上の某所で不可能証明なるものを見つけた。
反論は作品で、とあるのだが、本作は反論になりうるだろうか。
自分は余り証明内容を理解できていないので、もしわかる人がいれば教えて欲しい。
尚、勝手に転載するのはどうかと思うので、興味のある向きは詳しくは調べて頂ければと思う。


3.雑感
本作は自作中ベストの出来だと思っていて、勿論お気に入りの作品。
ただあらゆる点でうまくいきすぎていて、自分が作り上げたというよりは、神様が合作してくれたという感じ。
尤も、だからこそ気に入っているという面はあるが。

例えば変化・紛れの切り分け。構想が「連続打診合」なので、1歩の差や1路の差で詰/不詰を切り分けなければならない場面は多かったが、それらの悉くがほとんど自動的に成立したのは全くもって幸運だったとしか言いようがない。
例えば配置。変化・紛れとも関連することだが、作意や変化に必要な駒が紛れでは邪魔駒となってくれたりして、余りにも都合が良すぎた。はじめは盤上駒だけでも優に20枚越えを覚悟していたが、使用駒17枚に纏まってくれた。
例えば収束。歩が余らずに詰めばいいという程度に思っていたのだが、なんとも都合のいい収束があったものだ。自分はそれを発見しただけである。

そして例えば構想の成立機構。
これは自分で作ったには作ったが、この機構を思いつけたのはある偶然の切欠によるものだった。
創作に行き詰まり、気分転換にいろいろな詰将棋の本を読み返していた時のことだ。
何冊目かに、『この詰将棋がすごい!2010年度版』を手に取った。
予め断っておくが、それは何も創作のヒントを求めての行動ではなく、ただ少し休憩しようという程度の気持ちからの行動だった。
実際、パラパラと流し読みをした後、一旦は特に思うところなく本を置いた。
そしてそろそろ創作に戻るかと盤に向き合った時、気づいたのである。
さっきのアレは使えるんじゃないかと。

アレとは「超短篇における中合対策の研究」という論考で書かれていた、中合対策のことだ。
65馬配置の発想は、まさにこの中合対策からきている。
とはいえ、はじめは83角生に対する74歩合も馬に取らせて割り切ろうと考えたので64に馬を置き、ああでもないこうでもないと悩んだのだったが。
本当に偶然としか言いようがない出会いで、『この詰将棋がすごい!2010年度版』とその中の「超短篇における中合対策の研究」という論考、並びにその編者・著者の方には感謝している。(関係のない話だが、こういうときにネットで勝手に名前を出していいのだろうか)
不思議な巡り合わせもあるものだ。
そんな偶然もあって、これしかないという形に仕上がった成立機構が一番のお気に入りの箇所。


さて、そんなお気に入りの作品ではあったが、本作は期待していたよりは評点は伸びなかった。
元々そこまで評点を絶対視していないのでショックということはなかったが、全く気にならなかったといえば嘘になるだろう。
とはいえ、評点云々を残念がるよりも、喜ぶべきことが多かったのも事実である。

一つは、会合の席やTwitter、それから勿論誌上の短評で多くの方に褒めてもらえたこと。中には特に尊敬したり目標にしたりしている作家の方などもいて、やっぱりこれが何より嬉しかった。
また一つは、半期賞を頂けたこと。評点はそれほど奮わなかっただけに、本作を半期賞に推して下さった担当者の方には本当に感謝している。
そしてもう一つは、春霞賞を頂けたこと。実は密かに狙っていただけあって、かなり喜んでいる。今後も機会があれば構想作を作りたいと思う。※春霞賞候補に選ばれただけで、春霞賞に選ばれたわけではなかった。お詫びして修正させて頂く。

最後の一つは平成25年度看寿賞中編賞を頂けたこと。
受賞という事実も勿論だが、大好きな作品に賞を頂けたということが何より嬉しかった。
本当にありがとうございました!
   [H26/7/6追記]


最後に命名について触れておこう。
位置エネルギーとは、物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられるエネルギーのこと。(Wikipediaより引用)
そして重力による落下運動では、「物体は上にあるほど大きい位置エネルギーを有し、落下するにしたがってそれは減少、代わりに運動エネルギーが増えていく」。
命名は、この現象にテーマ図01から72角が72→63→54と「落ちていく」のにしたがって、成生の自由度(位置エネルギー)が減少し、代わりに持駒の歩(運動エネルギー)が増えていくのを見立てたもの。
ただのインスピレーション的な命名だが、「タイトルがしっくり来る手順ですね」という評があったのは結構嬉しかった。

[ 2014/03/05 12:00 ] 発表作 | TB(0) | CM(18)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。