
A 72歩成、イ 同飛、B 51香成、ロ 同玉、C 62歩成、ハ 同飛、D 41香成、ニ 同玉、E 52歩成、同飛、F 42歩成、ホ 同飛、31香成、同玉、21歩成、同玉、32歩成、同飛、11歩成、同玉、22馬、同飛、13竜、12飛、22桂成、迄25手詰
A 62歩成、同玉、72歩成、同飛、54桂、71玉、81銀成、同玉、82歩、同飛、73桂生、72玉、62桂成、同玉、82竜、63玉、62飛、74玉、以下逃れ
B 62歩成、同玉でAに合流
C 52歩成、同飛、62歩成、同玉、53桂成、71玉、81銀成、同玉、82歩、同飛、以下逃れ
D 52歩成、同飛、41香成、62玉、53桂成、71玉、81銀成、同玉、82歩、同飛、以下逃れ
E 42歩成、同飛、52歩成、同飛、31香成、同玉、21歩成、同玉、32歩成、同玉、22桂成、41玉、31成桂、以下逃れ
F 31香成、同玉、42歩成、同玉、以下逃れ
イ 同玉は73竜、61玉、51香成、同玉、52歩成、同飛、62歩成、迄
イ 同とは51香成、71玉、62歩成、同と、82竜、同玉、46馬、73合、同桂成、同と、同馬、同玉、74飛、63玉、64歩、62玉、52歩成、迄
ロ 71玉は81銀成、同玉、82歩、同飛、73桂生、72玉、62歩成、同玉、82竜、63玉、62飛、迄
ハ 同玉は52歩成、71玉、81銀成、同玉、82歩、同飛、73桂生、71玉、61と、72玉、62と、同玉、82竜、63玉、62飛、迄
ニ 61玉は73桂生、71玉、81桂成、61玉、52歩成、同飛、62歩、同玉、74桂、61玉、63竜、62合、同桂成、同飛、51成香、迄
ホ 同玉は53桂成、51玉、52成桂、同角、同香成、同玉、34角、以下
三輪勝昭(作者)「飛横移動がテーマとしたら、やはり回数が多いのが良いと思って創った図です。
これも変化は簡明なほど良いと思うのですが、これはちょっと無理。
飛を動かす理由は13飛成を邪魔する歩を捨てると言う理由で簡明なのですが、玉を横移動する捨て駒を取らすのが難しい。
1段目成捨てを取らずに逃げた変化を詰まし、2段目成捨ての同玉の変化を詰まして余詰のない形しなければならない。
そしてそれ以上に難しいのがそれの手順前後の防止です。
それが1回飛横移動の回数を増やすごとに創作難易度が2乗倍して行きます。
これでも変化は少なくしたつもりなのです。
どうやって創ったかと言うと、まず32歩成捨てからの局面作りました。
と言っても飛を7回動かす事を想定しています。
5筋に詰方の駒を利かし、その駒を動かせないよう双玉にしました。そうでもしない限り7回は無理と思ったからです。
そこから玉横移動・飛横移動を1回1回逆算で、1段目成捨てを逃げられた変化と2段目同玉の変化(5筋は必要ない)を詰み余詰を消して行った分けです。
最後81歩でしたが、7筋と6筋の歩成がどちらが先でも詰むので81とにしたら、72同とが詰まず46成銀を置きました。
生銀だと42同玉の変化で23飛、34玉、24飛成、45玉で詰みません。
コミカル性を主張した作品では変化は簡明なほど良いと思っていますがこれが精一杯でした。」
前作とは一転してごちゃごちゃとした初形。
歩成と香成を繰り返して飛車を一路ずつ連れてくる狙いは見えやすいので解くには易しいと思うが、作るのはやはり一筋縄ではいかないようだ。
例えば本作では5筋に香を配し、途中で一旦盤面を切るという発想で香成に対して逃げる変化を処理している。
これは面白い発想だと思うが、それでも7回移動させるには十分ではなかったようで81となどに苦労の跡がある。
趣向的な手順に見えて、Fのところで破調があるのもやむを得ずそうなってしまったとのこと。
ところで、作者コメントを読むと作者がどういうことを考えながら作図しているのかが見えてきて面白い。
構想はあるのだけれど図化できないという方は参考にされたし。
ただし、本格的な完成図を得ようとする場合は一つの発想に固執せず、他の実現方法も探ってみて比較検討する必要があることは付け加えておく。
例えば本作では、香5筋を切る発想は面白いとは思ったが、他の発想と比較してみないことには最善かどうかはわからない。
尤も、このような作品ではそこまで肩に力を入れなくともよいと思うし、三輪氏もそこまではされていないと思うが。
もしかしたら、いや宇宙のように広い詰将棋の可能性の中にならきっと、より良い図が眠っている。
そう考えはじめると切りがないが、もし有志がおられたらもっと簡明な飛車の蟹歩きの実現に挑戦してみてほしい。
できれば98飛→18飛で……
え?お前がやれって?
すいません勘弁してください(汗