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くぼの詰将棋

ぼく(くぼ)の詰将棋ブログです

握り詰大会 on Twitter ⑪



黄楊の輝き 作

A 34飛、23玉、36飛、 34歩、同角、24玉、25歩、15玉、26金、14玉、15歩、13玉、12角成、同香、33飛成、23飛、14歩、同玉、23龍、同玉、24飛、13玉、22龍、14玉、24龍、迄25手詰

A 36飛は35歩、同飛、24玉、以下逃れ
24玉は25歩、15玉、26金、14玉、34飛、13玉、33飛成、23桂、22龍、14玉、23角成、同角、11龍、12歩、15香、迄

正12 誤 0 無 0
評点 3.58 ( 5*2 / 4*3 / 3*7 / 2*0 / 1*0 )
順位 7位


トリを飾るのは黄楊の輝きさんの流麗な中編詰将棋。
36飛の限定移動に対する34歩合で華々しく幕を開けます。
特に34歩合は6手後の34飛を防ぐちょっとした遅効手でもあり、深みのある一手。

以下は特別な手こそありませんが、きっちり纏まっています。
収束について作者は、

作者
中だるみに駒取りの5手収束と、未完成ですが、序の4手を入れるために崩れてしまいました。


と謙遜していますが、限定飛合から14歩捨ての小技が効いていて悪い収束ではないと思います。
25歩以下の数手の中だるみについては改善の余地があるかもしれません。
しかし全体的には美しい手の流れを感じられる作品になっているのではないでしょうか。

ところで本作、作者の言及はありませんでしたが面白い構造を持っています。
初手から34飛~36飛とするのは、結局36に飛を据えることが目的でした。しかしそれでは、初手から36飛としてはいけないのでしょうか。
対して24玉であれば目的が達成され、変化と同様に詰むのですが、ここで35歩合という妙防があります。同飛、24玉でこれは詰みません。
つまり、攻方は36に飛を据えたいところ、いきなり36飛といくと35歩合があるので、これを回避するために34飛~36飛と迂回する必要があるのです!

この部分を強調するなら、作意は4手目34歩ではなく24玉の方に設定すべきですが、ともかく面白い構造には違いありません。
最後に同じ構造を持った作品を一作紹介しておきます。


詰パラ1985.12 短編競作展 愛上夫作 (森長宏明 『詰物語』 7番)

初手から33飛とすると34歩の打診中合があるので、これを避けるために38飛~33飛生とするのが主眼。
短編競作展にて首位を獲得した傑作です。
「結果発表では解答者107名中53名が9手詰の誤解に陥った。しかも成績の方でも第一位に輝いた。このような渋い構想作が高い評価を得たのは望外の喜びだった」(『詰物語』より)

追記
初手36飛はなんと43玉!で逃れてました。
極めて普通の手なのになぜ見落としたのか……。
これでほとんどこの構造のことに言及がなかった謎が解けました(笑)



咲花
変化も紛れも作意も、ほどほどに良い感じ 中合と歩突きの感触もいいね

占魚亭
飛の動きがテーマかな?

たちおか
単に遠打ではなく短打→限定移動となるのが面白く、歩捨合や飛合を絡めてうまくまとめています。

☆構造の面白さに言及した評。全く同意見です。

VAN
歩の使い方が丁寧。

桃燈
そっぽ飛車に捨て合といきなり密度の濃い攻防。
収束も先に歩を突くなど細かい攻防が好印象。

河童 B
作者曰く、「飛の大活躍を楽しんで下さい。」、ですね。
4手目の歩の捨て合が妙応手。

彼方
あらかじめ34に歩を中合して数手後の34飛を防ぐ。

☆34歩合はちょっとした遅効手になっています。

divD
攻防のバランスが良い。

☆攻防両方にバランス良く好手がありますね。

そてつ
パズル的問題。


黄楊の輝き作品の美点は、いかにもな詰将棋らしさとバランスの良さ、そつの無さだと思っています。
ウルトラCはなくとも、納得できる作品が多い印象です。ニコニコ動画風に言うと、実家のような安心感(笑)
でももう少し野心を覗かせた作品もたまには見たい気がします。なんせそういう作品の方が好みなので(わがまま)


以上で握り詰作品展11作の解説は全て終了です。
次代を担うであろう作家が集まってくれて、解説する側としては楽しかったです。
次回は……あるかな?やるとしたらテーマ競作がいいなあ。
[ 2014/12/05 18:30 ] 握り詰大会 | TB(0) | CM(0)

握り詰大会 on Twitter ⑩



divD 作

48銀、36玉、37金、35玉、36金、同玉、37歩、35玉、36歩、同玉、59飛、 47歩成、同角、35玉、36歩、46玉、56飛、迄17手詰

69馬は39飛、迄

正12 誤 0 無 0
評点 3.92 ( 5*5 / 4*3 / 3*2 / 2*2 / 1*0 )
順位 5位


無理のない初形に無理のない手順。余り頭を悩ませるところはなかったように思います。
それだけに嫌味なく、しかしそれでいて38歩消去や59飛~47歩成などところどころに香辛料が効いた手順。
非常にいい雰囲気を持った作品で、個人的には今回一番好きな作品でした。
また、順位は5位ですが首位との点差は僅か2点で、さらに5点評を最も多く集めたのは本作でした。私の感覚も捨てたもんじゃないな(笑)

尚、作者の狙いは…

作者
13手詰の誤解狙い。


というところにありました。引っかかった人はいませんでしたが、47歩成に結構な短評が集まったこともあり、まずは成功でしょう。
しかし主題としては少し弱い気がします。

尤も、強い主題があることは長所ですが、主題がなくとも纏まりを生むことはできます。
本作のように雰囲気を統一して手順を繋げることができれば、趣向作が趣向部分を主張するように、その雰囲気を主張できるはずです。(雰囲気の感じ方は人それぞれなので、事はそう単純ではありませんが)
手順の弱さをカムフラージュするためなのか、雰囲気を壊してまで難解な序をつけたような作品がたまにありますが、私は嫌いですね。
と、話が本作からどんどん逸れていってしまっているので、この辺りで自重します。
とにかく本作は好作、というのが主意。


咲花
なんとなく嫌いになれないこの雰囲気 移動合も軽いポイント

☆そうそう、やっぱり咲花君はわかってるね!(笑)

占魚亭
溜めて、溜めて、59飛。間違いなく1位はこの作品でしょう。

☆1位ではありませんでしたが、私の中では1位でした。

たちおか
飛を下に引いて使い、玉方は移動捨合で対抗するのが面白い。易しくて楽しめました。

VAN
邪魔駒削除の構想作。面白い。

☆面白いと好評サクサク。

桃燈
金と歩を捨てる手順は、こうなって欲しいという形のまま、非常に綺麗に入っている。
59飛のそっぽも自然に入っており、握り詰とは思えない無理のない構図に思う。

☆無理のない構図も一つのポイント。

河童 B
48歩が邪魔駒とはね。47歩成の移動合も面白い。
好形の握り詰、これはお気に入りです。

☆実力解答者もお気に入り。

彼方
狙いは面白いが収束に少し冗長感がある。

黄楊の輝き
解いていて楽しかった。変化がスッキリ纏まっていますね。かなり好みです。
咲花さんかな。

☆作者当て……もはや何も言うまい。(冬眠蛙さんのパクリ)

そてつ
わかりやすい邪魔駒消去。



divDさんは私が今最も注目している作家に一人。
スマホ詰パラでは既に入選級の好作をいくつも発表されています。
本誌へは投稿しないのですかと何度も訊いてしまってすいません(笑)
[ 2014/12/01 20:58 ] 握り詰大会 | TB(0) | CM(1)

握り詰大会 on Twitter ⑨



彼方 作

34馬、同玉、44成銀、25玉、27香、イ 26香、同香、14玉、15香、同玉、45飛、ロ 35金、25金、同金、同飛、14玉、15飛、同玉、25金、迄19手詰

26桂合は同飛で無効(35玉に47桂が生じるため)
14玉は15飛、同玉、25金、迄。また35飛は25金、同飛、同飛、14玉、15飛打、迄

正12 誤 0 無 0
評点 4.08 ( 5*4 / 4*6 / 3*1 / 2*1 / 1*0 )
順位 1位


作意を並べてみると、これはまさしくザ・詰将棋。
握り詰はどうしても成り行き任せなところが生まれてしまうものですが、本作は一貫して好手順が続きます。
特に香捨合~金中合のあたりは見どころがあります。
手順の良さが買われて見事首位となりました!

唯一気になるのは詰上がりで遊んでいる53角。
26香合を発生させてからは必要のない角なので、捨合を諦めて別の逆算をする手もあったと思います。
その方が良くなるかどうかはやってみないとわかりませんけど……。

本作を見て思ったのは、偶然を感じさせない仕上がりになっているなということ。
①もそうでしたが、作者の狙った方向に作るべくして作られています。
作者の技術が伺える好作でした。


咲花
これは創りなれてるな、明らかに 角残るの残念だけど手順は合格

占魚亭
作意では働かない角と成銀が4手目24玉の変化で活躍。
4手目同金の順を作意にできれば……という感じでしょうか。

☆4手目同金は同角成、24玉に25金や26飛など色々な詰みがあり、どの手順を指しているのかわからず。よければコメントか何かで教えて下さい。

たちおか
捨合2回に飛車を捨てて綺麗に詰め上がる。

VAN
53角が残るのが残念だが好手順。

☆私も同じ感想。

桃燈
金の中合はお見事。
序も長すぎず、中合を巡る攻防を中心に、簡潔にまとまっている。

河童 B
2度の捨て合に妙味。54と金を成銀に取り替えて、握り詰、完成。

divD
変化が長いので金中合に気付いた。角が残るのが残念。

黄楊の輝き
握り詰とは思えない華麗な手順。今回で一番好みです。
Kajishitaさんかな。

☆今回の握り詰大会、作者当てはかなり難しかった様子。

そてつ
手順は中合二回に初手の馬捨ても入り、紛れもある。53の角が残るのがつらい?



やはり中捨合を含む好手順と53角配置への言及が多いですね。
折角なので最後に一つ、解説者として別の角度からコメントを。

本作で最も目立つ手は35金中合なのですが、金中合を含んで以下の手順は既成手順と言えます。
ですからできればここではないところに主眼手を置いて欲しかったというのが本音。
贅沢な話かも知れませんが、作者の力ならできるはず!
[ 2014/11/29 17:00 ] 握り詰大会 | TB(0) | CM(2)

握り詰大会 on Twitter ⑧



VAN 作

31香成、同玉、41と、同玉、96角、85歩、同角、同銀、A 32銀、同玉、B 72飛生、 42銀、33歩、同玉、34金、32玉、54馬、 41玉、42飛成、同玉、43金、51玉、52銀、62玉、63銀成、61玉、52金、71玉、72成銀、迄29手詰

A 42歩は同玉、72飛成、52桂、32金、同玉、52龍、42桂、43銀、33玉、42龍、24玉、22龍、15玉、以下逃れ
B 72飛成は62歩!、同龍、42角!、(22金、33玉、)23金、43玉で打歩詰(42角合は33歩~53龍の防ぎ)
42角合は22金、同玉、42飛成、13玉、12龍、24玉、23龍、15玉、16歩、同玉、34馬、17玉、39角、18玉、28龍、迄。また、62歩合は同飛生で無効(72飛生の効果)
31玉は42飛成、同玉、以下同様(非限定)

正12 誤 0 無 0
評点 4.00 ( 5*4 / 4*4 / 3*4 / 2*0 / 1*0 )
順位 3位


初手駒取りは無骨な感じですが、序は眠っている79飛を働かせる自然な順。
しかし85歩合、同角、同銀まで進めて手が止まります。
私の第一感は42歩と叩く手でしたが……。

32銀!が逆モーション気味の妙手。
飛車のラインから玉を遠ざけるだけに指しにくいところです。
しかしこれはまだ前座。もっと凄い手が次に来ます。

作者
11手目が狙いの一手。成ると詰まない。


72飛生が狙いの一手。
しかし作意を一見しただけでは不成とする意味がわかりません。成るとどうなるのでしょうか。
72飛成には62歩~42角とするのが妙防で、紛れBのように打歩詰に逃れます。
つまり72飛生はこの変化の62歩合に対して62同飛とするためだったわけですね。
作意を詰ます上では不成の効果が全く現れないのが素晴らしく、実に奥ゆかしい一手になっています。

本作は72飛生という明確な狙いの一手があり、握り詰には珍しい意欲的な作品。
個人的にこういう狙い重視の作り方は好きです。
序と収束にはちょっと皺寄せがきていますが、駒種制限の中では仕方がなかったのでしょう。
でも駒種制限を外せばどういう纏め方になったのかは興味があるところです。よければそんなバージョンも見てみたいですね。


咲花
3手目~11手目がこの形で入るのか…初手はアレだけど、62歩合にはビビった 優勝候補

☆惜しくも1点差で優勝には届きませんでしたが、非常に印象的な作品でした。

占魚亭
79飛を使うには序はこの流れしかないが、そのあと数手が考え所。45馬の活かし方もポイント。

たちおか
玉が広くて捕まえるのが大変ですね。序はさらに広くするようで難解。

桃燈
角を開いて飛車先を通してからの不成の構図はダイナミック。
どういう理屈になっているのか私の実力では皆目検討が付かない、凄いです。
一方で収束はやや平凡に流れた感じが否めない。
初手駒取りは絶対悪とは考えてはいないが、握り詰での交換型初手駒取りは駒種制限に対して露骨に感じる。

河童 B
11手目、72飛成は62歩の中合あり、成る程。
72飛生までの一連の悪?力に草臥れる。

彼方
32銀~72飛生には驚いた。また、12手目の変化も面白い。もう少しうまい序をつけられれば…。

☆やはり序はちょっと残念な感じですね。

divD
変化調べるだけで大変。変化に備えた飛不成が良い。

黄楊の輝き
柿木使用。9手目ビックリ。合駒も難解。

☆柿木を使うとまさかのところでいきなり飛生が出てきて余計にビックリするかも?

そてつ
合駒を入れて飛不成が秀逸。



作者のVANさんはブログやTwitterで精力的に作品を発表されている方。
短期間で作っているとは思えないほど作品の質は高いです。
なぜか本誌には全然投稿されていないようなのですが、そういう楽しみ方もありですよね。
でも本音としては腰を据えて作った作品も見てみたかったりします(笑)

[ 2014/11/23 01:00 ] 握り詰大会 | TB(0) | CM(0)

握り詰大会 on Twitter ⑦



ikz26 作

13飛成、12飛、21歩成、同玉、12龍、同玉、13飛、21玉、23飛成、31玉、41香成、同玉、43龍、51玉、61香成、同玉、72と、同玉、82角成、61玉、83馬、72歩、同馬、同玉、83金、61玉、62歩、イ 51玉、52歩、62玉、73金、71玉、A 41龍、61合、82銀、迄35手詰

A 82銀成、61玉、72成銀でも詰み(余詰)
62同玉は73金、61玉、41龍、51合、62歩、71玉、51龍、迄駒余り

正12 誤 0 無 0
評点 3.08 ( 5*3 / 4*1 / 3*3 / 2*4 / 1*1 )
順位 8位


拙作。
序の追い手順から作り始めたのですが、早々に駒が不足気味となり左辺で無理矢理纏めました。
その皺寄せがAの余詰……。

初形市松についてはある程度狙いながら正算していましたが、ピッタリ左右対称になったのはちょっと幸運でした。
でもそれにかまけて余詰を甘受したのはやはり良くなかったですね。別の作品を考えるべきだったかもしれません。


咲花
形も手順も趣向的 嫌いじゃないよ、こういうの

☆ありがとう。

占魚亭
収束の余詰めは仕方ないですか。

☆甘えました、すいません。

たちおか
飾っておきたい初形と、途中まで趣向的な手順。収束はご愛敬。

VAN
握り詰でこの初形ができるとは。

☆握り詰で盤面象形はちょっと珍しいかもしれません。龍2枚とかの簡素形は結構ありますけど。

桃燈
握り詰で初形曲詰を達成したのはお見事。
送り手順も綺麗にまとまっている。
最終3手は手順前後型の余詰か。
余詰に厳しい現代の詰将棋感からすると、大幅な減点項目とせざるを得ない。

☆仰るとおりです。ごめんなさい。

河童 B
初形の対称形も良いが、手順もなかなかなもの。
収束に一捻りあり、です。

☆ありがとうございます。

彼方
こういうのは割と好きだけど…。収束にキズが多いのは仕方ない所か。

divD
煙詰っぽい手順。初形はいいが収束余詰。

黄楊の輝き
初形曲詰に不動駒なしの好作。最終3手余詰さえなければ…。

☆最終3手余詰さえなければある程度自信を持って提出できたんですけどね……。

そてつ
見事な市松初型。収束と手順については握り詰なので仕方なしか。



余詰はやっぱり気になりますね。
それでも皆さま好意的な評を寄せて下さりありがとうございます!
[ 2014/11/20 22:21 ] 握り詰大会 | TB(0) | CM(0)
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Author:くぼ
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